ニート第一話→なぜ出て行くのか
『お前達、どうしたん?』
青色の目が印象的な少年がナナとアメにむかってそう言った。
サラサラな金色の髪にキラキラした目で、普通の女子なら、目があっただけで、赤面しそうな美少年、それが、【アース】とみんなから愛称で呼ばれている本名さえ名乗らない美少年だった
アースはなぜか、ナナとアメによく話しかけてくる。何を考えてるかわからないやつだとナナとアメは困っていた。
だって、他の女子の視線が痛い。
基本、無気力に生きているニート達が、唯一、熱くなることができたのが、この美少年のことだったから。
髪をのばせば、女の子に見えるような美少女顔の美少年である。(男でもいい)そう思う男子も少なからずいるのだ。
でも、基本は無気力なニート達、告白する勇気がある者はいなかった。
『お前ら、ここ出てく気なのか?』
少し得意げにアメが、
『まあね。でも、さすがにすぐにはムリかな』
いろんな資格の受験パンフレットを手に取りアースに見せつける!!!!
『資格とか取ろうかなって、思って、アースならどの資格が働く時に1番役にたつと思う?』
『働くのに役立つやつより、就職するのに有利な資格取れよ。』
呆れながらアースは見せられた受験パンフレットを見ながら答える。
ナナは2人のやりとりをうるさいと思っていたが、言わなかった。
2人の会話はまだ続いていた。
『アースはずっとここにいるつもりなの?』
『家よりマシだからな。』
『アースなら、見た目いいんだから、芸能人とかになればいいじゃん!』
『やだよ』
『なんでさ?』
『俺、音痴だし、嘘もつけねーから演技もムリなんだよ。』
『あぁーね!』
『むかつく女だな。』
チャイムがなった。
アナウンスが流れる。
【希望者のみのおやつの時間です、体育館にお集まり下さい。今日のおやつは、かき氷です】
『ナナ!』
アメがキラキラした目でもう一度呼ぶ!
『ナナ!行こ!かき氷だよ?あたし絶対マスカット味食べたいから、早く行かないとなくなっちゃうよ!』
この前、1週間くらい前のおやつの時間に、アメが、マスカット味を頼んだら、ちょうどアメの3人前くらいでなくなってしまったのだ。
それから、ここを出て行く前に絶対かき氷のマスカット味を食べておきたいとアメは言っていたから。
ここを出て行く!
あたしのワガママというかプライドで親友まで巻き込んだ。
(アメは本当にここを出て行きたいの?)
とても聞けない言葉が、頭の中でリピートされる。
アメはかき氷のマスカット味にありつけたみたいで、幸せそうに食べている。
ズキン
ナナは少し、孤独を感じる。なんでだろう。
アメは人気者で可愛くて友達もたくさんいて、なのに、なんであたしについてきてくれるの?
ねぇー、アメ?