短い小説
できて1年が経過した牛丼屋。オープンしたての時はよく店の外まで行列ができていた。
そのことが嘘のように店内にはちらほらお客さんがいるだけ。
どうして人間はこんなに残酷なんだろう
鳩は思った。あんなにちやほやしといて飽きたらポイだからな。このままこの店も潰れるのだろうか?鳩はこの牛丼屋がオープンしてから今日までずっと見てきた。鳩は暇なのだ
。雨が降ってきた。あまやどりもかねているのか4人組の喪服姿の人間が牛丼屋に入って行くのを見た!
『美奈(みな)のことなんだけど…』
中年の女性が何か話し始める。鳩は興味がないし、鳩のいる所にはもう声が届かない。
(誰か死んだのだろうか?)鳩にはわからないことだ。今日も何事もなく終わりそうだ。
牛丼屋の駐車場の方に何かが飛んでくるのがわかった、鳩は何も思わない。どんどん近づいてきて、それが鳥だとわかり、更に鳩だとわかり、仲間の鳩だととわかった。
鳩は、基本、集団行動をする生き物だ。でも中には変わり者もいるのだ。そしてその仲間の鳩と一緒に寝床の神社に帰る。
『今日は何か変わったことはあったのか?』
『いつもと変わらずだ』
昨日と同じしつもんに嫌気がさすが仲間の鳩も同じようだ
この国では鳩は平和のシンボル!平和の象徴とされる、なので人間達は、鳩を殺したり食べたりしない。人間達のおかげで他の生き物に襲われることもない。しかし人間達に感謝する鳩なんて1匹もいないようだ。
今日も平和という日常が過ぎていく
平和という退屈に守られた世界は
少しずつ生き物を退化させながら…
おわり