小説久しぶりに書きます。
題名→今
『今、あなたは、何をしていますか?』
その声に気づいた、一人のご婦人がいました。年のころにして、80歳くらいでしょうか。
年金を、毎月、もらっているでしょう、そんなおとしごろでした。
『だれ?』ご婦人が言いました。
当たり前です、いきなり、声がしたのだから、誰が言ったのかを確かめる、だから、ご婦人は、当たり前のことを、当たり前に聞いただけです。
ご婦人の名前は、ハツネといいました。
ハツネは、声の主を、見つけようとあたりをキョロキョロします。でも、見つかりません。
そして、
『すいません。』
また声がしました。
ハツネの前に、突然現れたのは、ヒヨコ売りでした。
『あなたのことを、気に入ったヒヨコがいまして。』
『私を?』
ハツネは、目の前にいる、ヒヨコを、見ました。自分を、じーっと、見ています。
そして、ハツネが、手をさしのべると、ぴょんと、飛び乗って来ました。
『この子は、いくらですか?』
そう言った瞬間、周りの景色が、見慣れた自分の部屋に変わっていました。
ヒヨコ売りは、いません。
さっきまでいた場所のことを、ふと考えましたが、わかりません。
さっきまで、自分は、どこにいたのでしょう。
そして、ヒヨコとハツネの日々が、スタートしました。
つづく。