しあわせがかおるブログ

ブログと、短い1話完結ものの小説です!あと、携帯小説!

マスク(ショートショート)

ラーメンが、食べたくて、商店街の道をあるきながら、ラーメン屋さんを、探す。夕方になってから、寒くなってきた。薄着で出てきた自分のことを、恨みながらゆっくり、歩く。なんでだろう。夏でもないのに、風鈴の音が聴こえて…意識が、ぼんやり。あたしは、意識が、はっきりしたら、家にいた。

(家から出ていけない、死にたくなければ)

そう誰かの声が聞こえた。その言葉のつづきを、待ったが、それ以上聞こえることはなかった。あたしは、もう、この長崎県から、20年も、出ていない。出ようとすると、あの風鈴の音がするのだ。そして、気づいたら、家に戻ってきてしまっている。あたしには、東京に、行きたい理由がある。でも、長崎県からすら出れない。最近は、束縛がどんどん、ひどくなっていき、近所を歩いているだけでも、するのだ…あの風鈴の音が。

そして、あたしの国では、とあるウィルスがはやり、マスク生活を、強制されていた。あたしには、関係ないけど。どこにもでかけられないからね。だから、あたしには、マスクが不要なのだ。自分のように、自由に外に出かけられない人々が、SNSで、愚痴をこぼしているのを、見かける。あたしは、いつまで、あの人に会えないのだろう。



END

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